G7主要国の第2・四半期GDPを見てみる(08年8月15日付)
基本に立ち返り、G7主要国の第2・四半期GDPを見てみる。
結論から言えば、世界的リセッションに陥る(陥った)可能性が。
米国は前期比年率+1.9%
日本は前期比-0.6%、前期比年率-2.4%
ユーロ圏は前期比-0.2%、前年比+1.5%
ドイツは前期比-0.5%、前年比+3.1%。
第3四半期低迷ならリセッション懸念台頭。
イタリアが前期比0.3%減
フランスが前期比0.3%減
ユーロ圏で経済規模が大きい独、仏、伊の3ヵ国が
マイナス成長に陥った。ユーロでは統計開始以来初の−成長。
これで、G7のうち過半数の5ヵ国がマイナス成長に。
ユーロ3ヵ国同時のマイナス成長は、2000〜2001年のITバブル
崩壊後の景気悪化局面でも見られなかった現象だ(;一_一)
G7主要国の第2・四半期では、米国が相対的にやや優勢。
崩れそうで崩れない米国株の一因はこれか!?
まぁ、芳しくないことに変わりなく、上値追いは厳しそうだが。
因みに、みずほ証券では・・・
英国も4〜6月期は前期比0.2%増となっているが
イングランド銀行が8月13日に発表したインフレ報告の中で
今後マイナス成長の四半期が出てくるだろうと予想していると指摘。
米国も4〜6月期は前期比0.5%増だが、減税効果剥落後は景気が悪化しそうと指摘。
次のG7会合は10月11日頃に開催される予定だが
米国の大統領選挙の投票日まで1ヵ月を切っており
政策協調という面で目新しい動きが出てくることは期待薄。
GDPと併せて、やはりインフレ率も見んといかん・・・
米7月消費者物価指数総合は前月比+0.8%、前年比+5.6%(1991年以来の高水準)。
コア指数は前月比+0.3%、前年比+2.5%。
ユーロ圏7月の消費者物価指数は、前月比-0.2%、前年比+4.0%。
欧米中央銀行は、依然としてインフレリスクに対する警戒モードを解除できない状況。
う〜ん、どこをどうみても芳しくないといった数字であり、印象。
しかし、サブプライム問題顕在化(株価急落)から既に1年。
経済指標が景気後退入りを示唆し始めたのは、昨年10-12月。
そして、現在・・・
「ようやく」景気後退が「確認されつつある」というのが現状。
今になって、8-10ヶ月前からの景気後退が騒がれているのだ。
政治も、報道も、経済指標も、全て後追いなのだ。
株価の先行性、現在の株価水準を考えると・・・
ここから、そして今更、大騒ぎで暴落するようなら
むしろ、底を探る場面、買い場かもしれないとも思える。
ただ、実体経済の底を探る場面であることは確か・・・
焦って買う場面でもないということでもある・・・
てなこんなで、買いの手伸びないんでしょうな。
買いは、この位置からなら遅れても間に合っちゃうし(-_-メ)
米FOMC
27日、28日(米国時間)の二日間に渡って
今年4回目の米FOMCが開催されます。
FOMCというのは公開市場委員会と和訳されます。
FRB(連邦準備制度理事会=日本の日銀のようなもの)の7人の理事と
ニューヨーク連銀を含む5名の地区連銀総裁で構成されます。
約6週間ごとに年8回開催されます。
日銀の政策決定会合のように米国の金融政策を決める最高意思決定機関であり
公定歩合やFF(フェデラルファンド)金利(銀行間で取引される短期金利=短期金利の指標とされる)誘導目標や景況判断、及び金融政策の運営方法等を決定するものです。
ここにきて昨年6月に引き上げられて以来据え置かれてきた
FF金利の早期利下げ観測が大きく後退しています。
景気減速懸念の中、先月下旬に発表となった4月の新築住宅販売、4月の耐久財受注額
今月月初発表の5月雇用統計、中旬発表の5月小売売上高がそれぞれ予想を上回り
住宅、設備投資、雇用、消費での各主要指標が堅調となったうえ
ベージュブック(地区連銀経済報告)でも景気の拡大が続いているとの見解が示され
景気減速懸念が一転して成長持続期待へと変わっています。
こうしたことで8月の利下げ期待は大きく後退しています。
尚、ベージュブックとはFOMCの開催8週間前の水曜日に公表され
FOMCでの金融政策を計るための重要な指標となっています。
金融政策に対するマーケットの見方は
FF金利先物相場で知ることができます。
FF金利先物の8月物をみると
利下げをほぼ100%近く織り込む場面もありましたが
足元は、現在のFF金利の誘導目標と同じ
5.25%近辺での推移となっており、【利下げはない】
との見方が大勢になっていることがわかります。
年内のFOMCは今回を除くと8月7日、9月18日、10月30、31日、12月11日の4回です。
9月物、10月物、12月物の先物は
それぞれFF金利の誘導目標とほぼ同水準でフラット。
つまり現状では年内の利下げはない
との見方が大半となっているといえます。
極論気味になりますが・・・
利下げ期待から上昇してきた米国株式市場は、今後
利下げなくして上値追いは厳しいのではないでしょうか。
もちろん今回も金利は据え置きとみられています。
したがってFOMC終了後の声明文が注目されることとなります。
声明文の内容により、為替市場や株式市場等に大きな影響を与えるからです。
(参考: マネックス証券投資情報部、クロージングベル、フィスコレポート)
5月全国百貨店売上高
5月全国百貨店売上高
発表予定日時: 6月19日(火)14:30
全国百貨店売上高とは、毎月18日、19日ごろに日本百貨店協会が
全国の会員百貨店の前月の売上げの状況を調査し発表するものです。
全国のほか主要10都市、10都市以外の地区別の
売上高に加え商品別の売上高も発表されます。
現在の会員百貨店数は94社で、会員数や店舗数が変動するので
店舗数調整後でみた前年との比較が重要視されます。
全国百貨店売上高は、百貨店株に直接的に関連する指標で
株式市場でも注目されるデータです。
また、法人向けの販売も金額に含まれているので個人消費動向だけを
反映しているわけではありませんが消費関連指標の一つとしても重要です。
全国百貨店売上高発表よりも早く、月初に前月売上高の前年比を発表する会社もあり
個別の百貨店の売上げ状況を確認することも可能です。
ただ、全国百貨店売上高も各社が発表する売上高速報も長い間低迷が続いており
前年比でプラスとなることがあっても僅かであることなどからサプライズもなく
株式市場が大きく反応を示すことが最近ではほとんどありません。
個別の百貨店の5月の速報ベースの売上高は
三越が前年同月比で2.7%減(店頭売上ベース)
大丸が同0.3%減(直営既存店ベース)
松坂屋が同0.3%減とマイナスとなっているのに対し
高島屋(単体店頭売上ベース)が前年同月比1.2%増
(単体ベース)、松屋が同0.9%増
伊勢丹が同1.1%増と各社まちまちです。
大手百貨店のこうした状況などからみて5月の全国百貨店売上高が
3ヵ月ぶりにプラスに転じるかは微妙な状況です。
来週は火曜日の全国百貨店売上高に始まり
20日(16時)に日本フランチャイズチェーン協会から5月のコンビニエンスストア売上高が
22日(14時)に日本チェーンストア協会から5月全国スーパー売上高が発表される予定。
今回も全国百貨店売上高とともにコンビニエンスストア売上高
スーパー売上高も株式市場にとってサプライズはあまりないと予想されますが
このように来週は消費関連指標が相次いで発表されることから
足元の消費動向を改めて確認する週となりそうです。
(参考: マネックス証券投資情報部)
日銀金融政策決定会合
日銀金融政策決定会合
予定日時: 6月14-15日
「金融政策決定会合」とは、日銀で月に1〜2回開かれる
景気や物価情勢などについて議論して
金融政策を決定するための会合です。
会合の構成メンバーは日銀総裁と副総裁2人そして審議委員6人の計9人で
それぞれが議決権を1票持ち、多数決で意思決定されます。
ここにきてマーケットでは、利上げが早まるのではとの観測が出ています。
福井日銀総裁を始め、決定会合での金融政策の決定権を持つ委員から
利上げに積極的な発言が続いているためです。
こうした状況を受けて長期金利が上昇しています。
指標となる新発十年物国債の利回りがこの4日には1.8%を超え
今年の最高の水準での推移となっています。
今回の会合での金融政策の変更はないとの見方が一般的です。
しかし、早期利上げに対する観測が強まっているだけに
会合後の福井日銀総裁の発言内容が注目されます。
しかし、マーケットは今夏の利上げを意識し始めています。
今後の金融政策決定会合の日程は次回が7月11日と12日
そしてその後が8月22日と23日、9月18日と19日で
8月か9月での利上げを予想する見方が多くなっています。
金利水準が低いだけに実際に今後、利上げがあってもなくても
実際の企業業績などへの影響は軽微だと思われますが
いろいろな思惑や周りで騒ぐことで
株式市場にも少なからず影響を与えると思われます。
特に、金利の動向は株式市場ばかりでなく
為替市場に影響を与えることも多く注目したいところです。
(参考サイト: 日銀金融政策決定会合議事要旨、マネックス証券投資情報部)
4月機械受注
4月機械受注
発表予定日時: 6月8日(金) 08:50
機械受注統計とは機械メーカー280社による生産設備用機械の受注額を集計したもので
内閣府の経済社会総合研究所から発表されるものです。
通常「船舶・電力を除く民需」という項目が利用され
景気を計る上で重要な企業の設備投資の先行きを示す指標として注目されます。
なお、この「船舶・電力を除く民需」というデータが利用されるのは、船舶や電力会社からの受注が規模が大きいうえに不規則であることから、これを除いたデータのほうがより正確に設備投資の動向を把握できるという見方からだと考えられます。
機械受注は比較的振れの大きい指標ということもあり
市場の予想から乖離するケースがよくあります。
こうしたケースでは、統計発表前と発表後で市場が大きく動くことが多くみられます。
以前は14時に発表されていたことから発表前後のザラ場中に市場が乱高下するケースがありました。今は立会い時間前(8時50分)に発表されるようになり、予想と比べてどのような数字になったかを斟酌する時間的余裕が出てきました。また、他の投資家の動向をじっくりと見ながら注文を出すこともでき駆け引きがますます難しくなって来ています。
機械受注は企業が設備投資のための
機械を発注する段階をとらえているので
民間設備投資の6ヶ月〜9ヶ月くらいの
先行指標として考えられています。
この統計は直接影響のある機械株だけでなく
市場全体に影響を与えることになります。
つまり、機械受注が好調と報じられると設備投資が好調
つまりは業績が好調ということになり
株式市場では買い優勢となることが多くなります。
逆に不調と報じられると
見切り売りや投げ売りが多く出るといった状況になります。
3月の受注額は前月比4.5%減と2カ月連続のマイナスとなりました。
市場予想平均(0.2%増)も大きく下回り製造業が7.5%減、非製造業が2.5%減でした。
受注額は9,907億円と22カ月ぶりに1兆円の大台を割り込みました。
設備投資の先行指数である機械受注の2ヶ月連続のマイナスに続き
1-3月期のGDPの民間設備投資もマイナスとなったことで
設備投資の先行きに不透明感が出ています。
また、30日に発表となった鉱工業生産指数も2ヶ月連続でのマイナスとなり
企業の生産活動にも足踏みがみられます。
このところ弱めの数字が続いているだけに今回の機械受注もその動向が注目されます。
(参考サイト: ESRI,統計メニュー、3月機械受注統計、マネックス証券投資情報部)
4月 鉱工業生産指数(速報)
4月 鉱工業生産指数(速報)
発表予定日時: 5月30日(水) 8:50
鉱工業生産・出荷・在庫指数とは
鉱業または製造工業に属する事業所の
生産、出荷、在庫などに関する活動状況を
平成12年を基準(=100)として表現するものです。
経済産業省が毎月発表し、翌月に発表される「速報」は
市場関係者の注目が集まる経済指標の一つです。
発表は「速報」と「確報」の2つがあり
「速報」は翌月下旬、「確報」は翌々月中旬に公表されます。
やはり注目度が高いのは「速報」です。
日本の産業のなかでGDP(国内総生産)に占める比率の高い
鉱業と製造業に属している企業の生産量を指数化したものです。
鉱工業は多くの産業の基礎ということもあって
景気の動向を把握するため
市場関係者の多くが鉱工業指数に注目します。
生産指数、出荷指数、在庫指数などが公表されるのですが
その中でも最も注目されるのは生産指数です。
また、景気循環を捉える場合などには
在庫指数なども合わせて注目されることがあります。
これは在庫が多いと企業は仕入れや生産を抑え
反対に少ない場合は出荷や生産を増やすこととなるからです。
さらに、業種別・財別にも集計し公表されているため
業種別の生産動向を把握することもできます。
鉱工業生産指数は速報性が高いこともあり
景気判断指標のなかでも代表的な指標の一つと言えます。
ちなみに、「原指数」といわれる指数と
「季節調整済指数」といわれる指数が発表されるのですが・・・
一般的には、業種などによって異なる季節による変動要因を取り除いた
「季節調整済指数」が着目されます。
3月の鉱工業生産指数(速報)は前月比0.6%マイナスの107.2と
事前の市場予想0.9%プラスを大きく下回り予想外のマイナスとなりました。
業種別では、米国、中国向けの半導体製造装置が振るわなかった
一般機械が4.7%低下し、電気機械も8.1%のマイナスとなりました。
3月の出荷指数は前月を1.5%下回り109.7でした。
在庫指数は0.5%低下し96.1となりました。
在庫では、北米向け普通乗用車の出荷待ちが解消した輸送機械で7.1%低下しました。
この15日に発表となった3月の機械受注が予想を下回るマイナスとなり
また17日に発表となった1−3月期のGDPでの設備投資もマイナスと
先行きの設備投資動向に若干の不透明感も出始めています。
したがって、足元の生産活動状況を確認するうえでも
今回の鉱工業生産指数は注目されます。
(参考サイト: 経済産業省鉱工業生産・出荷・在庫指数。マネックス証券投資情報部)
4月消費者物価指数
4月消費者物価指数
発表予定日時: 5月25日(金)8:30
消費者物価指数というのは・・・
日常的に購入する商品とサービスの
小売段階での値動きを表す指数です。
毎月12日を含む週の水〜金までのいずれか1日を選んで
580の指数採用品目の値段を調査し
毎月総務省統計局から発表されているもので
物価の変動を把握するための指数です。
前月比などがプラスになれば物価が上昇し
逆に、マイナスになれば物価は下落していると捉えられます。
ちなみに、市場関係者は・・・
物価の変動が激しい生鮮食品を除いた
「生鮮食品を除く総合指数(CPIコア)」という指数を
最も注目しています。
物価は経済において最も重要な要素の一つで
経済を安定させ成長させるためには
物価の調整が必要となります。
そこで、日本銀行が金融政策等でその調整機能を担い
そこで参考とされる重要な指標の一つが、この消費者物価指数なのです。
特に今は日銀の利上げについて
様々な思惑が取りざたされている時期だけに
消費者物価指数の動向に注目が集まっています。
日銀の「経済・物価情勢の展望」のレポートで
今年度のCPIコアの見通しの中央値が
前年比+0.1%と従来の+0.5%から引き下げられています。
この3月のCPIコアが前年同月比でマイナス0.3%となり
2006年度の平均を下回る水準となったため
今年度の発射台は前年度平均よりも低い位置となってしまいました。
このため日銀の見通しの+0.1%でも困難との見方もあり
早期の利上げのために日銀が今年度の見通しを引き下げたのでは
と勘ぐる向きもあります。
ただ、キューピーがマヨネーズを17年ぶりに値上げすると発表するなど
一部の企業では原材料費高騰を商品価格に転嫁する動きもみられます。
仮にこうした動きが広がるようであれば・・・
日銀の見通し以上に物価上昇する可能性もあるかもしれません。
消費者物価指数は今、最もホットなトピックの一つと言えるでしょう。
是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
(参考: 総務省統計局ホームページ。マネックス証券投資情報部。)
2007年1-3月期 GDP速報
2007年1-3月期 GDP速報
発表予定日時:5月17日(木)08:50
GDP(Gross Domestic Product)=国内総生産。
原材料費等の中間投入分を除いた「付加価値」の総額を表します。
つまり、日本で生み出された付加価値の総額を表すものです。
GDPは各種の統計結果を組み合わせて加工したもので
加工統計(第二次統計)と言われるものです。
日本全体の生産量を表しているため
GDPで経済の成長を計ることができます。
GDPには、名目GDPと実質GDPとがあります。
名目GDPは単純に財やサービスの生産を総額したものですが
これでは、例えば、物価が上昇した場合・・・
生産量は変わっていないにも関わらずGDPは大きくなってしまう
という問題が生じてしまいます。
そこで、物価の変動を取り除いたGDPが実質GDPというわけです。
前回の2006年10ー12月期の実質GDPは
年率換算で+5.5%(速報値は+4.8%)と
市場の予想を大きく上回りました。
設備投資が前期比で+3.1%(年率換算+13.2%)と
大幅な伸びを示したうえ
個人消費も7―9月期が落ち込んだ反動もあり堅調となり
内需主導での成長が改めて裏付けられる結果となりました。
前回が大きな伸びとなった反動から今回は伸びが鈍化するのでは
との見方もありましたが・・・
暖冬の影響による春物衣料や外食などの消費の好調もあり
比較的堅調な成長が続くとの見方が増えています。
日本経済新聞社の調査による民間調査機関の予測値平均は
実質で前期比+0.7%(年率換算+2.6%)となっています。
(参考: 内閣府 統計資料 最近の四半期別GDP速報)